江戸時代、大洲藩の江戸屋敷で生まれたお殿様の御用菓子、志ぐれ。400年の時を経て、今もその味を受け継ぐ「ひらのや製造本舗」が、2号店として茶寮を開きました。志ぐれに加え、季節の和菓子や新たな名物も生み出し、進化を続けています。
京都での修行を経た職人兄弟が店主
2021年夏、「NIPPONIA HOTEL 大洲城下町」のそばにオープンした「茶寮 平野屋」。看板となる甘味は、注文を受けてから手練りする「本わらび餅」(1,320円)。平井さんの修業先「有職菓子御調進所 老松 嵐山店」の名物である本わらび餅に着想を得て、平井さんが独自で製法を編み出した逸品です。
「大洲のまちを盛り上げたいという気持ちから、出店を決めました」という6代目の平井啓太郎さん。京都での修業を経て帰郷した当初からカフェを開くことを目標としていました。長屋の古民家をリノベーションした店内は、土間や壁などに当時の面影を感じられ、茶寮にふさわしい佇まい。店は平井さんと弟さんが二人三脚で営んでおり、カウンター席に腰を下ろせば、オープンキッチンで菓子を仕上げる両職人の仕事を見ることができます。
賞味期限たった20分の本わらび餅
本わらび粉を100%使用し、つくりたてを提供してくれる本わらび餅の賞味期限はなんと20分!もっちり、つるんとした独特の食感を楽しむには、この時間内に味わうのがベストなのです。
水に浮かぶわらび餅を箸ですくい、まずはそのまま。本わらび粉ときび糖のみで練り上げた上品な味わいが口一杯に広がります。お次は黒蜜ときな粉にくぐらせて味変を楽しみましょう。
四季を感じるお菓子を、愛媛の銘茶と合わせて
季節の生菓子または志ぐれと抹茶の「抹茶セット」(生菓子850円、志ぐれ750円)や「煎茶セット」(生菓子850円、志ぐれ750円)もあります。季節の生菓子はおよそ2週間ごとに内容が変わり、移ろう四季を表現したお菓子が4種ほど用意されています。抹茶は上林春松本店の綾の森、煎茶は脇製茶場の月の雫を提供するなど、合わせるお茶にもこだわりが光ります。
大洲銘菓の志ぐれと煎茶のセットも人気。北海道小豆の風味ともっちりとした食感が特徴の志ぐれは、程よい甘さがお茶請けにピッタリ。愛媛の銘茶・新宮茶とともに味わいます。茶寮平野屋では器にもこだわっており、桜井漆器や砥部焼を使用。愛媛県の伝統工芸、その用の美を感じられます。
まち歩きの息抜きにぴったりな茶寮へぜひ
口に入れた瞬間、体温ですっと溶けていく本わらび餅の妙味。6代目・平井兄弟の醸し出すあったかい空気感。二度、三度と訪れる人が続いているのも頷けます。古き佳き時代を味で、空間で表現する「茶寮 平野屋」へ、大洲まち歩きの息抜きにたずねてみてはいかがでしょうか。
《店舗情報》
■代表者:平井啓太郎
■住所:〒795-0012 愛媛県大洲市大洲394-1
■電話番号:090-3788-4508
■営業時間:10:00〜17:00(ラストオーダー 16:30)
■定休日:火~木(まける市の日も定休)
■SNS:https://www.instagram.com/saryou_hiranoya/